「IT新改革戦略−ITによる日本の改革−(案)」に関するパブリック・コメント
NPO法人ヘルスケア・リレーションズ(理事長 和田ちひろ)では、政府IT戦略本部が2005年12月8日〜2006年1月6日の間に実施した「
IT新改革戦略−ITによる日本の改革−(案)
に関するパブリック・コメント」の募集に際し、患者情報センター(仮称)等の基盤の整備について意見を提出いたしました。
「患者中心の参加型医療」を実現する活動の一環として、当法人では、今後も患者の求めに応じた情報提供について提言してまいります。
○意見の概要
医療の質の向上を図るには患者自らの参加が必要である。そのため、患者の求めに応じて医療に関する情報を提供する患者情報センター(仮称)等の基盤の整備が急務である。
○意見(
本文)
「個人が生涯を通じて健康情報を活用できる基盤づくり」には検診結果等の活用について述べられているが、保健医療サービスの受け手(以下、「患者」とする)の健康増進のための情報提供ニーズはより多様である。したがって、「IT新改革戦略」においてもより多角的な視点から情報提供を検討すべきである。
「現状の課題」には「医療の質の向上」等を図ることが緊急の課題と記されているが、その中でも特に優先順位の高い課題は「医療の安全性の向上」を図ることと考えられる。そのため、「IT新改革戦略」においても、医療安全の推進に係る具体策をより重点的に記載すべきである。
医療安全推進対策については、「医療安全対策の推進について(第13回社会保障審議会医療部会資料)」にも「患者、国民との情報共有と、患者、国民の主体的参加」が掲げられている。これを踏まえ、「IT新改革戦略」でも、患者の求めに応じて医療に関する情報を提供する基盤を整備すべきである。
現在、患者に対して書籍やインターネット端末によって情報提供を行う施設としては、「患者情報室」等があるが、これを設置している病院は1%に満たず、情報提供ニーズに十分に応え切れているとはいえない。そこで「IT新改革戦略」では、次の目標を明示することを提案する。
2008年度までに、少なくとも二次医療圏ごとに1施設以上の病院に「患者情報センター(仮称)」を設置する。
患者の情報提供ニーズには、医療機関に関する情報、診断・治療に関する情報のような客観的情報のほか、闘病体験などの主観的情報に対するニーズも存在する。患者情報センター(仮称)がこれらの幅広い情報提供を円滑に行えるように、ITの特性を活かして患者向けオンラインジャーナルの推進など、コンテンツの整備も同時に進めていくことが必要である。