クリティカルパスは、1990年代後半になって急速にわが国の医療界に広がった。パスによるケアの標準化は、「質の何上と患者の満足度を高め、患者や地域社会の支持を獲得した」ともいわれた。
しかし、手放しで喜ぶのはいささか短兵急かもしれない。パスが普及され始めて10年近く経とうとしている今夏、ある新聞ではパスを紹介するための特集記事が組まれた。つまり、患者にとってパスは決して身近なツールではないのである。ホームページにパスを掲載している病院も増えているようだ。ただ、同時に「患者のためのパス全集」やその類のサイトのような、パスそのものの普及を図るツールも必要になるだろう。
一方、患者参加の側面から、パスは新たな展開が求められるようになったのではないか。パスによって満足度が高まったのは、患者にとってケアプロセスが明快になったからであろう。つまり、「情報の非対称性」を少しなりとも改善できたからである。しかし、そのプロセスはレディメイドである。これからは、全日程が決められた添乗員付きツアーから、どれだけ患者の自由度の高い、いわばカスタムメイドなパスを作れるかも課題である。
「患者参加型クリティカルパス」を合言葉に、真に患者に指示されるパスづくりについて考えていきたい。 |